Monday, 24 January 2011

こより

あなたを他の人にとられる前に
私達が出会っていればと思う
今ならどうってことのない年の差も
その頃の私達には
大きく感じられたことだろう

まだ恋愛を夢見る頃に
二人が出会い
最初の恋人であったならと思う
そうすればすんなりと
何一つややこしいことなく
当たり前に結婚していただろう

結婚するまでには
たくさんけんかをし
嫉妬し嫉妬され
何度も泣いたことだろう

結婚してからは
せっせと晩御飯を作っては
深夜まで戻らないあなたを待っただろう
浮気を疑って
こっそりワイシャツの匂いを嗅いだかもしれない

突然激しく
どこかから
笑いがこみ上げてくる
自分の声の妙な音に
さらにおかしさがこみ上げて
ははははと笑っては
はっと我に返る

何年も遠く離れて
会えないことに慣れてしまった
私達の生活を思う
そして自分が案外けろりとしているのに
気づく

さっきあなたと電話をしながら
無意識でティシューで作ったこよりを
拾い上げる

それをゆっくり
丁寧にほどいて
窓の光に透かして見る

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