Monday, 17 January 2011

マグダラのマリア

あなたの足に
香油を注ぐ
あなたを待つ運命を知る
あなたを失うことを知る

夏の夜の闇に
オリーブの木の下で
石榴がこぼれるように交わった
あの確実な肉体を
湿った肌を

今では
遠くに思い出す
手が届くかと思えば
するりと消えてしまう
ああ
幻のような記憶を

あなたの選ぶ運命を
許そう
わたしに背を向け
群衆に顔を上げるあなたを
許そう

私は立ち上がって
群集に混じり歩く
地面の
一つ一つの足跡をたどり
最期まで姿なく
あなたの後をついて行く

あなたが神の栄光とされ
私から完全に奪われてしまっても

あなたが救う世にあって
私だけが救われなくても
かまわない

あなたの体温を分かち合った
この血の流れる肉体と共に
魂が朽ち果てても
私はもう
かまわない

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