あなたの足に
香油を注ぐ
あなたを待つ運命を知る
あなたを失うことを知る
夏の夜の闇に
オリーブの木の下で
石榴がこぼれるように交わった
あの確実な肉体を
湿った肌を
今では
今では
遠くに思い出す
手が届くかと思えば
するりと消えてしまう
ああ
幻のような記憶を
あなたの選ぶ運命を
許そう
わたしに背を向け
群衆に顔を上げるあなたを
許そう
私は立ち上がって
群集に混じり歩く
地面の
一つ一つの足跡をたどり
最期まで姿なく
あなたの後をついて行く
あなたが神の栄光とされ
私から完全に奪われてしまっても
あなたが救う世にあって
私だけが救われなくても
かまわない
あなたの体温を分かち合った
この血の流れる肉体と共に
魂が朽ち果てても
私はもう
かまわない
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