Friday, 7 January 2011

秋の猫

昨夜の雨がやみ
太陽が輝いた秋の日の午後
庭を歩く
日は傾き
風はぴたりとやみ
木も枝も草も
息を潜め
秋の静寂に耳を済ませる

猫が一匹
畑の隅に座る
土の匂いを嗅ぐわけでもなく
獲物を狙うわけでもなく
ただ草原のかなたを見つめている

季節の変わり目を感じ取るように
しっとりと広がった空気を
身になじませる

わかってるよ
心が凛としてるのだろう
この美しい時間を
ささやかにでも
取っておきたいのだろう

立ち去る私の足元に
猫は音も無く擦り寄る
その一瞬の友情を
ありがたく思う

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