Saturday 5 December 2009

風の歌を聴く
こどもの熱にうなされた重い息と
暖房の立てる
ささやくような音を聞く

葉を失った木々が
いっせいにざわざわと音を立てる
落ち葉が舞い上がっては
ぱらぱらと降ってくる
プラスチックの植木鉢が
カラカラと転がっていく

額にのせられた手ぬぐいは
もうすでに熱を持っている
枕の横に置かれた腕は
ぐったりと重く動かない
胸に塗った
メンソールのにおいが部屋に満ちる

向かいの壁にもたれて
床に座り
目を閉じる
つらく荒い呼吸を聞く

風はまだ歌っている
カーテンのむこうの窓を
雨が打ちつけ始める
夜の闇をこつこつと
時計の音が
几帳面に刻んでいく

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