Friday 18 December 2009

あなたは歌う

あなたは歌う
さわさわと風の流れる
どこまでも広い平原に立つように

見渡す限りの海原を
白いヨットですべっていくように

ツバメが自由自在に
夏の空を横切っていくように

人気のない深いプールの底を
息を止め千々にきらめく光と泳ぐように

優しい友達が
無言で手を握ってくれるように

恋人が枕元で
静かに平安な寝息を立てるように

あなたの歌は
心を自由にする

変わることのない確かな手が
あなたの中から
ためらいなくとりだした
その歌を聴き
私も同じ手に包まれる

深い森の中のしっとりとした匂いの中で
木漏れ日を見るように

その透けて見える薄緑の木の葉の
若々しい輝き

そこにいるのは
今の私になる以前の
新しくやわらかい私で

その私はじっとしていられず
光の中で踊りだす

体の中が嬉しさで満ち溢れ
飛び跳ねないではいられないように

そして透き通る小川に
美しい小魚が
音を立てずひっそり泳いでいくように

夏の静かな雨が
乾いた地面に慈悲深く染み透っていくように

あなたは歌う

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