Monday 12 October 2009

引き潮

海の底を歩く
水深は1センチ
海に追いつこうと
水は足の下をすべり抜ける様に引いていく

水平線まで続いているかのような
遠浅の砂を踏みしめながら
海へ向かう

幾重にも描かれた
海底のタペストリーは
水に洗われて
自慢げに姿をさらす

夕方の強い光は
まだまだ今日が十分に残っていることをほのめかし
わたしは
心がわくわくするのを隠せない

光!
光!
光!

この遠い欧州の秋にも
夏の残影は
まだたっぷり残っているのだ

引いていく波に足を洗われながら
早く早くとせかされ
私は海へと足を速める
駆け足になり
息が止まるような冷たい水に服を濡らしながら
さぶさぶと海を進む

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