海の底を歩く
水深は1センチ
海に追いつこうと
水は足の下をすべり抜ける様に引いていく
水平線まで続いているかのような
遠浅の砂を踏みしめながら
海へ向かう
幾重にも描かれた
海底のタペストリーは
水に洗われて
自慢げに姿をさらす
夕方の強い光は
まだまだ今日が十分に残っていることをほのめかし
わたしは
心がわくわくするのを隠せない
光!
光!
光!
この遠い欧州の秋にも
夏の残影は
まだたっぷり残っているのだ
引いていく波に足を洗われながら
早く早くとせかされ
私は海へと足を速める
駆け足になり
息が止まるような冷たい水に服を濡らしながら
さぶさぶと海を進む
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