皆が滑り抜けて行ったあとをたどり
木立の中を行く
リズムを取って息をしながら
白い坂を上る
下りではカーブに向かう
体重を移動させ
スキーを踏みしめるようにして
曲がりきる
白い静寂の向こうから
遠くの歓声が聞こえてくる
どこかの国の旗が振られている
先頭がゴールして
もうどれくらい経つのだろうか
それでも観衆は
まだレースを見守っている
最後の選手が戻ってくるまで
手に握ったカラフルな旗を振り
ベルを鳴らして
声を上げる
あと500メートル
重い足を一歩ずつ持ち上げ
雪に突き刺したスティックに体重をかけ
ゴールに向かう
肺はパンク寸前
心臓を極限まで打たせながら
最後のスキーヤーは
フィニッシュラインを切る
顔をぐちゃぐちゃにして
両手を挙げて
レースを終える
雪の中に倒れこみながら
50キロ前を思い出している
カウベルはなり続く
白い風景がカラフルに変わる
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