Tuesday 19 October 2010

詩人のアドバイス

常套句を避けよと詩人は言った
人が共用する言葉の中に
新しい言葉を作り出せと
誰も言わなかった言葉を
万人に向かって堂々と語り
それを再び分かち合えと

薄闇の中を目を凝らしながら歩き回り
魂の一片を見つけたのなら
それを乗せる言葉を探し当て
遠くに飛ばそう
舌の先で
空気の味を感じるように
すくい上げ
文字にする
そしてそれを読み上げる
その音に耳を澄ます

それはささやきとなるかもしれない
さざ波となってささやかに遠くまで広がるかもしれない
誰かが大きな声で叫び
ある者は耳をふさぎ
ある者は逃げ出すかもしれない
その言葉の結晶を
幾人かはつかむことができるだろう
暗く寒い夜に
一人っきりの場所でそっと手を開いて
それが溶け出すのを大切に待つだろう

そんなふうに詩を書きたいと願う
そんなふうに言葉を発したいと思う
声を探し続ける
堂々と
いつまでも
いつまでも
言葉を探し続ける

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