手をつなぐには大きくなりすぎて
でも一人で行くには小さすぎる
兄と妹は
並んで家を出る
手には懐中電灯と
お菓子を入れるかごを下げ
ドラキュラのコートと
おどろおどろしい入れ歯をつけ
初めて二人だけで
暗がりの中を出かける
「車に気をつけて」に
生返事を返し
近所の家まで
話をしながら消えていく
兄は前を見ながら
妹は私を振り返りながら
ハロウィーンの闇の中に
吸い込まれていく
10分後には私は時計をみあげるだろう
そのあと1分ごとに時間を気にしては
窓から外を見るだろう
子供たちは早足で帰ってくる
寒さで頬を赤くし
冷たい手に提げた戦勝品を振り回し
誇らしげに大きく足音を響かせて
このドライブにもどってくるだろう
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