常套句を避けよと詩人は言った
人が共用する言葉の中に
新しい言葉を作り出せと
誰も言わなかった言葉を
万人に向かって堂々と語り
それを再び分かち合えと
薄闇の中を目を凝らしながら歩き回り
魂の一片を見つけたのなら
それを乗せる言葉を探し当て
遠くに飛ばそう
舌の先で
空気の味を感じるように
すくい上げ
文字にする
そしてそれを読み上げる
その音に耳を澄ます
それはささやきとなるかもしれない
さざ波となってささやかに遠くまで広がるかもしれない
誰かが大きな声で叫び
ある者は耳をふさぎ
ある者は逃げ出すかもしれない
その言葉の結晶を
幾人かはつかむことができるだろう
暗く寒い夜に
一人っきりの場所でそっと手を開いて
それが溶け出すのを大切に待つだろう
そんなふうに詩を書きたいと願う
そんなふうに言葉を発したいと思う
声を探し続ける
堂々と
いつまでも
いつまでも
言葉を探し続ける