Saturday 19 September 2009

のみのくすり

のみのくすりをつけると
ロケットのように腕を飛び出し
外に逃げていく
獣医にも行けない
気の弱い猫

コンピューターに向かう私の目を避け
柱の陰に隠れながら
こっそり階段を下りていく

男の子の寝室に滑り込み
ベッドの下に隠れる
もぐりこんで手を伸ばすと
またはじかれたように飛び出し
次は女の子の部屋の
ベッドの下の入り込む

かわいそうな猫は
大好きなママが今夜は怖い

カーテンの後ろでやっと捕まえて
腕に抱き上げる
全身をひねり
飛び降りようとする猫を
しっかりと支えて抱きしめ
額をなでる
のどをなでる
やっとごろごろと
聞きなれた音が聞こえる

もう大丈夫
怖くないよ
いつもの優しいママだよ
台所でこっそりと鳥のささ身をくれる
猫に甘いママだよ

きらくなネコのせかいにも
時には
ふかかいなうらぎりがやってくる

誰をしんじていいものか
誰をあいしていいものか

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