Tuesday 22 September 2009

雪融け


晴れ渡った早い春の朝
昨夜降り積もった雪が融けだす

汚れた長靴も欠けた鉢植えも
トタンの屋根も
コンクリートのひび割れも
今朝こそは晴れ晴れとしているというのに

早足で駆け抜けていった冬の名残は
頭上まで昇った日に照らされて
醜く形を崩していく

わたしはといえば
大きな窓の近くで
胡坐をかき目を閉じる
呼吸を数える
春の光に
喜びを隠しきれずさえずる鳥の声を
遠くに聞く

すると聞きなれない音

雪が
とけている音だ

冬には冬が
そして春には春が
季節はこともなげに
その美しい役割を果たす

向かいの屋根から滴る雪水は
ドライブを流れ車道に届き
坂を駆け下り原へ向かう
そこから先は地面に吸い込まれ
海までたどる

雪が消えた後も
日は地面を照らし続けている

先週初めてスノードロップの花を見た
今では
真っ白な花が生垣を覆う

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