Tuesday, 29 September 2009

大西洋


大西洋を目の前に立つ
岩礁へ入り込む波を見ながら
前この同じ場所に立ったのは
いつだったろうかと思う

同じ光ではない
けれども夏の来る前に
確か数ヶ月前に
私はこの同じ場所で海を見た
近くに海を感じ
いても立ってもいられずに車を飛ばしたのだった

打ち寄せる潮のしぶきを見ながら
広がる空の光と
圧倒的な水かさの前に立ちながら
私は自分が違うことを感じる
恒久の前で
私という媒体が
変わってしまったことを知る

確かな渇きを
自分の中に見つける
満たしきれないのだ
優しい夏の光も
人っ子一人いない海も
どこまでも広がる空間も

私の中身が暴き出される
何も隠すことができなくなる
いともあっさりと
心はぽんと
無防備に裸で放り出される

それでも海は相変わらず無関心を装う
私が変わろうが変わるまいがかまいなく
私を洗い続ける

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