Tuesday 8 February 2011

脱水機の甲高い金属音
食器洗い機の中でぶつかるワイングラス
コンピューターのファン
熱帯魚の水槽のフィルター
冷蔵庫のひくくうなる音

ソファーに寝そべる猫に耳を押しつけると
目を開けてちらりとこちらを見る
ごろごろという
愛しい生命の音

こうして誰もがねじを巻く
エンジンを規則正しく
うならせる

心臓のどくどくという音さえ聞こえない
音のない世界を想像する
それに憧れ
それを恐れる

リズムのない世界
時の流れない世界

耳を澄ませる
静寂の中に手足を広げ
空気をかき回す

そこでは空気すら濃度を失う
四肢が空気と溶け合い
空気は景色と混じり合う
よどんだ動きのない静けさ

その重いぬかるみを
体になじませる

そこで聞く音が
耳に響く
いつまでも緩やかに
耳からからだにひろがる



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