街頭の明るい通りに出ると
あなたはさりげなく手を振りほどいた
つながっていた温かさを失い
私の手は心細く宙を泳ぐ
食卓の上におかれた
今では硬く節くれだった手を見る
この手の温度と
その柔らかさを知っていたことも
あったのだなと驚く
そっけなく目をそらし
食事を続ける
今日並んで歩くとき
娘が手を握らせてくれた
やわらかくいとしいその手は
今となっては唯一
私が触れることができる手
白く温かく今でも解けてなくなりそうで
固く握ったものか
そっと離したものか
途方にくれる
人は簡単には
手を握らせてくれない
手をつなげば心がつながるというわけでもなく
触れる表面が
寂しくざらっと感じることもあるというのに
それでもどうして人は
手をつなごうとするのだろう
耐えかねて
娘の手に唇を当てる
彼女は手を引くこともなく
ただされるままに
私に手をゆだねている
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