Thursday, 11 March 2010

木のトンネル

氷の上で滑るのを気にしながら
この道を走った
道路を覆い被る枯れ木の枝を見て
遠い夏のことを考えた


初夏の柔らかい光の中
またその道を走る
陽は低く
光と影の強いコントラストのせいで
私は何も見えないまま
車を走らせる

ああ
サングラスをはずす
リューマチで曲がった指を伸ばす巨人のような
あの枯れた大木たちは
今では緑に覆われ
私をつかの間光から守る

葉のひさしは厚く
木漏れ日は目を射ることなく
ただ何百もの
微妙に揺れる緑の光となる

この木のトンネルを
抜けてしまいたくはないのだが
徐行もできないほどに
私の心は研ぎ澄まされている

光と影の混じるこのトンネルを
このままスピードを出して
走っていこう
この先で待ち構える強い夏の光を
受け止めることはできるだろう

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