何かをすべきかもしれないが
足が動かない
力が萎えているのだろう
夜中に
トイレの床にしゃがんで
ひざをついて掃除する
ごしごしと
何度も何度も
泡を立てて雑巾で床を拭く
何を望まないのかを
はっきり知っているのなら
何を望むかを
知っているのか
悲しくはないと思っていたが
このくらいはへっちゃらだと
涼しい顔でいたのだが
優しい言葉を使う人を思う
遠い場所の
遠い時間のその人は
本当に存在するのだろうかと
トイレの床に座り込んで
そこまでの距離に
心をくじかれる
立ち上がり雑巾を捨て
何度も何度も
石鹸で手を洗う
何度も何度も
繰り返す
猫を外に出し
戸締りをして
風呂場と台所の電気を消す
立ち上がれるだけの力があれば
寝床にもぐる気持ちがあれば
また明日もやっていけることを
ぽつりと
思い出す
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