Monday, 4 January 2010

トイレの床を拭く

何かをすべきかもしれないが
足が動かない
力が萎えているのだろう

夜中に
トイレの床にしゃがんで
ひざをついて掃除する
ごしごしと
何度も何度も
泡を立てて雑巾で床を拭く

何を望まないのかを
はっきり知っているのなら
何を望むかを
知っているのか

悲しくはないと思っていたが
このくらいはへっちゃらだと
涼しい顔でいたのだが

優しい言葉を使う人を思う
遠い場所の
遠い時間のその人は
本当に存在するのだろうかと
トイレの床に座り込んで
そこまでの距離に
心をくじかれる

立ち上がり雑巾を捨て
何度も何度も
石鹸で手を洗う
何度も何度も
繰り返す

猫を外に出し
戸締りをして
風呂場と台所の電気を消す

立ち上がれるだけの力があれば
寝床にもぐる気持ちがあれば
また明日もやっていけることを
ぽつりと
思い出す

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