一夜明けると
夏は完全に消え去っていた
冷たい風が
セーターの肩を吹き抜ける
日が短くなり
寂しさのます季節だというのに
私の足取りは
妙に軽くなる
わざとコートを家に置いたまま
外出する
まだ木々は葉で覆われているのに
まだプランターの花は赤く咲いているというのに
今朝
私の吐く息は白い
立ち止まり伸びをして
ちょっと次の角まで走ってやろうかと
大それたことを思いつく
明日からまた暖かい日が続いたとしても
確実にキリキリと
秋のねじは巻き込まれていくだろう
そうなると今度こそ
厚着せずには外出できなくなるだろう
それまでのつかの間
上着を着ずに家を出る
足にはスニーカー
誰も見ていないこの道を
どんどん走ってやろう
腕をぐるぐる回して
飛び跳ねてやろう
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