微笑まないユダヤ人
神をチャネルする
それほどの才能のあることの
それほどの前が見れることの
責任をあなたは負わない
逃げよ
つかまらず
ただ自由であることを証明するだけのために
自分の声で自分の歌を歌い続けるために
自分の歌を自分のものとし続けるために
愛を歌わず
反戦を掲げず
時代を代弁せず
歌わないために
笑わないために
語らないために
走り続けよ
評論家もファンも
誰も追いつけないスピードで
変わり続けよ
批判され続けよ
失望させ続けよ
裏切り続けよ
あなたが潔く捨てていくものを
振り返らずに
踏みにじっていくものを
拾い上げることで
私たちは魂の枷を少しだけゆるめる
Monday, 18 January 2010
Friday, 15 January 2010
墓地
あの子のお墓は
横須賀の見晴らしの良い場所にあるらしい
整備された明るい墓地は
外人墓地のように
広々としているらしい
芝生は手入れが行き届き
水汲み場はすぐ隣
ずらりと並ぶお墓の列の
その一番端にあり
廻りも気がねしなくていいらしい
あの子を思う人たちが
あの子のために
墓石が汚れたらいつでも掃除が出来るように
良い場所を選んだんだね
暗く寂しくならないように
海の見渡せる場所で
風の歌を聴きながら
いつまでも緑に囲まれていられるように
それでもそんなところに
あの子はいなければいいと思う
小さく区分された石の下などではなく
海では魚となり
空ではツバメとなり
木々の間を渡っていく風となり
街と一緒に
人ごみと一緒に
あの子は自由に飛び跳ねていればいいと思う
その丘の上の墓地に行こうか
花も持たず線香も持たず
「あんたの人生、こんなちっぽけな石の下に納まってるよ」
と冗談めかして話しかけて
あの子が面白がって笑っているのを聞くために
横須賀の見晴らしの良い場所にあるらしい
整備された明るい墓地は
外人墓地のように
広々としているらしい
芝生は手入れが行き届き
水汲み場はすぐ隣
ずらりと並ぶお墓の列の
その一番端にあり
廻りも気がねしなくていいらしい
あの子を思う人たちが
あの子のために
墓石が汚れたらいつでも掃除が出来るように
良い場所を選んだんだね
暗く寂しくならないように
海の見渡せる場所で
風の歌を聴きながら
いつまでも緑に囲まれていられるように
それでもそんなところに
あの子はいなければいいと思う
小さく区分された石の下などではなく
海では魚となり
空ではツバメとなり
木々の間を渡っていく風となり
街と一緒に
人ごみと一緒に
あの子は自由に飛び跳ねていればいいと思う
その丘の上の墓地に行こうか
花も持たず線香も持たず
「あんたの人生、こんなちっぽけな石の下に納まってるよ」
と冗談めかして話しかけて
あの子が面白がって笑っているのを聞くために
Monday, 4 January 2010
トイレの床を拭く
何かをすべきかもしれないが
足が動かない
力が萎えているのだろう
夜中に
トイレの床にしゃがんで
ひざをついて掃除する
ごしごしと
何度も何度も
泡を立てて雑巾で床を拭く
何を望まないのかを
はっきり知っているのなら
何を望むかを
知っているのか
悲しくはないと思っていたが
このくらいはへっちゃらだと
涼しい顔でいたのだが
優しい言葉を使う人を思う
遠い場所の
遠い時間のその人は
本当に存在するのだろうかと
トイレの床に座り込んで
そこまでの距離に
心をくじかれる
立ち上がり雑巾を捨て
何度も何度も
石鹸で手を洗う
何度も何度も
繰り返す
猫を外に出し
戸締りをして
風呂場と台所の電気を消す
立ち上がれるだけの力があれば
寝床にもぐる気持ちがあれば
また明日もやっていけることを
ぽつりと
思い出す
足が動かない
力が萎えているのだろう
夜中に
トイレの床にしゃがんで
ひざをついて掃除する
ごしごしと
何度も何度も
泡を立てて雑巾で床を拭く
何を望まないのかを
はっきり知っているのなら
何を望むかを
知っているのか
悲しくはないと思っていたが
このくらいはへっちゃらだと
涼しい顔でいたのだが
優しい言葉を使う人を思う
遠い場所の
遠い時間のその人は
本当に存在するのだろうかと
トイレの床に座り込んで
そこまでの距離に
心をくじかれる
立ち上がり雑巾を捨て
何度も何度も
石鹸で手を洗う
何度も何度も
繰り返す
猫を外に出し
戸締りをして
風呂場と台所の電気を消す
立ち上がれるだけの力があれば
寝床にもぐる気持ちがあれば
また明日もやっていけることを
ぽつりと
思い出す
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