ごうごうとうなる音を
暖かい部屋で聞く
急に暗くなった空が
雹を思い切り
地面に叩きつける
玄関の防水コートを
わしづかみにし
長靴に足を突っ込んで
外にでる
固い冷たい雹が
次々に顔を強く打つ
そして痛さを感じた瞬間に
溶けて顔をべったりとぬらす
限られた視界の中で
風の方向に足を向ける
頬にへばりつく髪を払いのけながら
しっかりと地面を踏む私の足には
もうどこからか力が降りてきている
右と左と確かめるように動かしながら
一歩一歩地面に足を植え付け
進む
濡れたあごをぐっと上に向ける
頬の冷たい痛みは
少し心を引き立てる
指の先まで
皮膚の表面まで
血が流れる
心臓がどくんどくんと
リズムよく脈を刻みはじめる
威勢のいい小刻みな音が
少しでも長く続くようにと
息を止めて祈る
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