高速道路沿いの茂みに
りんごの木を見つけた
紅葉が光を浴びているように見えたのは
色づき重みを増した林檎の実だった
誰が植えたのか
その昔に
誰かが雑草を取り払い
地面を耕して
苗を植えたのだろうか
それとも
誰かがある日
食べかけの林檎を草むらに放り込んだのか
湿った土の中で腐っていく林檎の芯
つるつる光る緑の芽が
勇ましく頭をもたげた
鳥が食み獣が踏み荒らす
カビに食われ雑草に覆われる
いくつかの芽が命を吹き返し
いくつかの芽が抵抗もせず死んでいく
そうして何もないところから形が生まれる
ひとつの芽が光をつかまえる
しだやイラクサに阻まれながら
太陽の温かみを受け止める
広葉樹の色の変わる秋には
林檎は一人前の苗木になり
枯葉にぬくぬくと包まれて
長い初めての冬を迎える
そして
その冬に道は開かれ整備され
高速道路が通った
車窓の向こうに過ぎ去っていった林檎の高い木を
私は心の中でまた見る
もうすぐまた冬がやってこようかというこの季節に
林檎は晩秋の最後の陽を
枝にぶら下がり堂々と浴びる
次の北風は
赤く瑞々しい実を
気前よく惜しげもなく撒き散らすだろう
そして誰も拾わない林檎は
新しい場所を見つけに
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